写真でつづる山小屋アルバイト2010 -10月-

10月―
遥か眼下に紅葉前線という「秋」をいまだ眺めながら
山頂に近い山小屋は「冬」の寒さを迎えている不思議さ。
バケツの水は軒並み凍りつき、濡らしたタオルを振り回すとバットのように凍りつく。夏の喧噪が嘘のように、静まり返った北岳。いよいよ、小屋閉めが近くなってきた。

山小屋アルバイトの仕事も、接客業から小屋閉めの準備にシフトしていく。屋根にペンキを塗り、崩れた石垣を積み直し、必要のない宿泊棟は順に閉めてゆく。冬の数か月もの間、小屋が雪に埋もれも大丈夫なように・・・。

光と富士(小屋前から撮影)
光と富士

10月上旬、麓に残る紅葉を楽しむ(二俣分岐より撮影)
最後の紅葉

夕日に映える甲斐駒ケ岳
日没の甲斐駒ケ岳

燃ゆる中央アルプス
北岳からは、遠く北アルプス、中央アルプス、富士山、そしてすぐそばには鳳凰三山が眺められる。日本の著名なアルプスの山々を一望できる数少ないポイントだろう。
燃ゆる中央アルプス

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写真でつづる山小屋アルバイト2010 -9月-

アルプスは天から秋が降りてくる。
9月に入り頂上付近が紅葉を始めると、紅葉前線は駆け足で山小屋の横を走り下りていった。下旬には初霜が降りて、シーズン終盤のアルプスに静けさが戻ってきた。

短いアルプスの秋。
シーズン最後の花たち。紅葉、甘酸っぱいベリーの実。
季節の移ろいの忙しさに目を見張る日々だった。

ブロッケン現象
思えば9月は「ブロッケン現象」が多かった。
これは標高の高い山でしか見られない現象で、
稜線上で・ガス(雲)が切れて太陽がでて・足元に広がる雲に自分の影がうつる・・・この条件が整うと、影のまわりに虹が弧を描く。
虹をまとった自分の影を見ると、ちょっと神様にでもなったような気分だ。
ブロッケン現象

紅葉するウラシマツツジ
僕はこの植物が好きだ。
ほかの高山植物がきれいな花を競い合う夏はただ地味に葉を茂らせ、
皆が枯れた秋になって誰よりも素晴らしい紅葉を見せてくれる。
うらしまつつじ

甘酸っぱいベリーの実。
食べられる実もよくなっている。
地面に座り込み、手の届く範囲のベリーを口に頬張る。
甘酸っぱいベリーの実

いちばんの夕焼け
レタッチ等してません、写真のままの夕焼け。すべてが真っ赤に染まり、スタッフもお客さんもあっけに取られて空を見上げた。
いちばんの夕焼け

バトンワーク
高山植物たちは、夏の短さを知っている。
シーズンを通して、見事なバトンワークで、次々にさまざまな花が咲いた。
バトンを手放すと、種を残し、土に戻ってゆく。
バトンを離す

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写真でつづる山小屋アルバイト2010 -8月-

残雪の消えた真夏の南アルプス。
高山植物はたくみなバンワークで咲き続け、
それをもとめて毎日のように登山客がやってくる。

2010年は”山ガール”ブームだった。
若者がおしゃれな登山服を着て大挙してアルプスを目指したのだ。
しかし南アルプスは北や中央と比べて知名度はいまひとつ。
山ガールはどこへやら、毎日100人以上もやってくる団塊世代のパワーを目の当たりに、山小屋アルバイトをする日々だった。1本500円のビールが飛ぶように売れたものだ。

貴重な高山植物を求めて周辺をよく歩いた。
標高3000Mのつかの間の夏、土壌の養分もすくない過酷な環境に生きてなお美しい花を咲かせる小さな植物に、感動を覚えない日はなかった。

満開のイワギキョウ
イワギキョウ

タカネマンテマ
キタダケソウとならぶ、北岳でしか見られない貴重なお花。
“紙風船”の先に小さな小さな花をつける。
タカネマンテマ

高山の厳しい環境に咲く
岩場に咲く

ハイマツとフジ
(構図は山小屋にあった写真を参考にしました)
ハイマツと富士

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写真でつづる山小屋アルバイト2010 -7月-

7月―

登山バスが開通し、いよいよシーズンが幕をあけた。
高山植物が咲きはじめると早くも登山シーズンはピークを迎える。
休日には小屋もテント場も、足の踏み場もないほどの人出で賑わい、
150人収容の山小屋に、テント組も含めて最大で500人も泊った日さえあった。

収容人数をはるかに超えた宿泊客を受け入れる――
山小屋アルバイトとして、これほど大変な日はない。
朝は3時台に起きて、夜は20時まで接客と食事準備の嵐。

しかし、そんな小屋の喧騒をよそに、残雪も少なくなった7月の北岳は、静かに彩りゆたかな衣装を身にまとい始める。希少な植物が豊富に咲くことから、”高山植物の宝庫”とも言われる北岳。
標高3000mの雲の上に広がるお花畑――それは”楽園”そのものだった。

お花畑をあるく
お花畑と登山者

ピークを迎えた山小屋
登山もピーク

チョウノスケソウとオヤマノエンドウ
チョウノスケソウとオヤマノエンドウ

お花あふれる登山道
お花あふれる登山道

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写真でつづる山小屋アルバイト2010 -6月-

6月、南アルプス。
ホバリングするヘリから、ふかふかの新雪の上に飛び降りる。
日本第二位の高峰「北岳」。その標高3000Mにある山小屋アルバイト初日。
ヘリが去ると、キンと静まり返った雪景色と、ほほを撫でる冷たい風だけが周囲を包んだ。

目の前にあるはずの山小屋は、屋根を残して完全に雪に埋まっていた。
事前に山小屋のオーナーから
「最初の仕事は小屋を掘り出すことだから」
と言われて「そんな冗談を」と思っていたが、目の前の小屋は入り口さえ2m下の雪の中だ。

そこから始まる、まさかの過酷な雪かき生活。
体力ももともと足りないし、何より空気も薄い。ほかの数人のアルバイトは体力自慢の猛者ばかり。それでもそんな連中に負けないようにと、疲れを通り越して笑えるくらい雪かきをした。

雪に埋まる山小屋
山小屋アルバイト初日

6月=雪かきの日々
6月雪かきの日々

キタダケソウ
北岳にしか咲かない花がある。
アルプス残雪期の6月末~7月上旬、標高3000Mの雪の消えたばかりの斜面に咲くというキタダケソウ。お目にかかるには雪山登山の技術と、短い開花期を嗅ぎとるセンスがいる。この花だけを目的に登山する人も大勢いる、まさに”高嶺の花”だ。日本固有種・絶滅危惧種。
キタダケソウ

ヘリでの荷揚げ
誰もが気になるそのチャーター料は、約80万円+荷物1トンにつき15万くらい、だそうだ。周辺の山小屋とチャーター料を出し合い同日に荷揚げをすることで、負担を減らしている。
ヘリでの荷揚げ

サルとの遭遇
いったん休暇で山を下り、山小屋に戻ろうとした帰りの登山でサルの群れに出くわしてしまった。タイミング悪く登山道をふさぐように散らばって、子連れもいたからか、こちらの接近に相当に緊張した様子だ。
大柄のオスが、こぶし大の石を何度もこちらに投げ転がしてくる。
「サルに投石されて骨折」なんて笑えない。投石を避け、としぶとくにらめっこを続けると、サルの群れは森の中に姿を消してくれた。
サルとの遭遇

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