予防接種

海外をサイクリングすると計画する以上、
身の安全については最大限考えつくさなければならない。

“のちの人生に活かしてこそ、その旅の価値がある”
先日読んでいた本にこんな言葉があって、ひどく共感したのが新鮮に頭に残っている。
確かに、生きて帰ってこその旅なのだ。

さて、旅中の身の安全を考えるうえで外せないのが「予防接種」だ。
一言に「予防接種」といってもたくさん種類があり、
どれを打つかは渡航の地域や旅の内容によって決まる。。

ここでは、旅人がおもに必要とする予防接種の概要と、
ちるじろうが実際に打った際の記録を載せていきたい。

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○予防接種の種類

A型肝炎
途上国で最も罹りやすい疾患のひとつ。
生水や生野菜、不十分な加熱の食品(特に魚介類)で感染する。
2~4週間隔で2回接種し、約半年後に3回目を追加する。
2回で約2年間、3回打てば10年間有効とされている。

B型肝炎
途上国で罹りやすい。
途上国での医療行為や男女の”スキンシップ”など、血液を介しての感染がほとんど。
難民施設でのボランティアなど患者との接触が濃厚な場合は注意が必要とされる。
1か月間隔で2回、約半年後に3回目を接種する。5年は有効。

破傷風
世界中の土壌中に常在している細菌で、ケガなどで感染する。
昭和43年以前生まれの人は破傷風を接種していないので、1か月間隔で2回、約1年後に3回目を接種する。
20-30代の人で子どものころにDPT3種混合(破傷風・ジフテリア・百日咳)を受けていれば、
1回追加接種をすれば約10年間有効となる。

日本脳炎
アジア地域で罹りやすい。
コガタアカイエカなどの蚊が感染豚から媒介するため、田園地帯や養豚場付近はより危険。
20-35歳くらいで小児期の接種がすんでいれば、1回追加で可。
305-40歳以上では2回接種したい。
約10年間有効とされる。

狂犬病
中南米、アフリカ、南西アジアや島嶼などをはじめ世界各国で感染。
犬(飼い犬含む)・コウモリ・サルなどの哺乳類にかまれることで発病し、発病後の致死率100%。
2-4週間間隔で2回接種し、約半年後に3回目を追加する。
3-5年間有効とされる。

咬まれた場合はすぐに現地の医療機関にかかる。
発病までの潜伏期間は約1週間から2-3か月(通常約1か月)とさまざまだが、
予防接種してない場合は当日から(遅くとも7日以内)接種開始し、必ず5回(0,3,7,14,30日目)接種する。
あらかじめ予防接種して基礎免疫があれば、追加接種2回(0,3日目)のみでよく、
咬傷後の接種開始まで7-10日ほどの余裕もできる。

黄熱
アフリカや南米の一部の国で、入国の際要求される。
入国の10日前までに接種する。約10年間有効。
※通常の予防接種センターとは別の各検疫所にて接種できる。

そのほかチェックしたい予防接種

ポリオ・小児麻痺・急性灰白隨炎・・・
南西アジア、中近東、アフリカ渡航者に推奨。

髄膜炎菌性髄膜炎・・・
イスラム諸国で流行している。3-5年有効
未承認ワクチンにつき同意書が必要。

腸チフス・・・
途上国で水や食料から感染する。2-3年有効。
未承認ワクチンにつき同意書が必要。

(参考:愛知県名鉄病院の資料「海外渡航者のためのワクチン」)

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さて、自転車など冒険色をもった世界周遊をする場合、受けるべき予防接種がけっこうある。
大陸や地域によって流行は変わるし、受けないと入国ができないも国だってある。

あれやこれやと悩んで、ちるじろうは以下の予防接種を受けることにした。

・A型肝炎
・破傷風
・日本脳炎

ありがたいことに、幼いころから人並みに予防接種をさせてもらっていたおかげで、
破傷風と日本脳炎は「追加接種」の一回で済ませることができた。

ちなみに、旅人の多くが受ける狂犬病とB型肝炎は受けなかった。
狂犬病は予防接種を受けていても、噛まれたら数回は病院でワクチンを打たなくてはいけないこと
(それでも致死率100%だけに予防接種をするメリットはデカいが・・・)
B型肝炎は途上国での”スキンシップ”が主な要因だからだ。まぁ、自分には縁はないだろう、と。

最後に、実際の予防接種の手順を、体験談をベースに紹介したい。

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○電話予約

渡航半年前に、ネットで地元の予防接種をしている病院を調べ、
電話予約をした。当初の希望は破傷風とA型肝炎だ。

「海外渡航ですか?」
電話越しに女性が訪ねたのでそうだと答える。 
「どちらへ行かれます?」
「オーストラリアから始まって北米南米アフリカ~の予定です」

「・・・あぁ~、世界一周ね?」
相手はなれた模様だった。新鮮なリアクションになぜかこっちがたじろいでしまった。

○接種当日(初回)
持ってきた母子手帳を片手に問診票と奮闘、過去の予防接種履歴ややった病気を記入していく。
渡航先の記入箇所で迷ったが、
ええいと「オーストラリア、アフリカ、北米南米、アジア」と景気よく記入、
渡航期間は5年間とした。

医者は人のよさそうなおじさんだ。
問診票を渡すと、「世界一周ね・・5年間・・すごいねぇ~・・」
こちらも、いたって慣れた様子だ。

医者は予防接種一覧表を机に置くとこういった。
「では破傷風とA型肝炎と日本脳炎とB型肝炎ですね。狂犬病はどうしましょうか?」
いきなりこちらの予約内容と違うではないか。
「電話で予約したのは破傷風とA型肝炎なんですが」
と言い返すと、医者は語気を強めて
「アジア行くんなら日本脳炎はからなず受けてください。」と引き下がる気配はない。
医者が強く勧めるものを断るわけにもいかない。
身を守るためだと思い、急きょ「日本脳炎」もお願いすることにした。

「じゃぁ いきますね。」
左腕に破傷風の入ったDPT3種混合と日本脳炎、右腕にA型肝炎をあいついで打ち込んだ。
あっ・という間。3本打つのに1分かかってないんじゃないか。
そんなサクサク打って体は大丈夫なのか!?と心配になるくらいあっけなく初めての予防接種は終わった。

気になる予防接種の金額は、初回は3本で17,800円。(A型\7500、日本脳炎\6300、破傷風\4000)
(※保険がきかないので高い。)

A型のみ初回より2週間後に2回目、その半年後(渡航直前)に3回目を打って、何とか渡航に間に合わせることができた。

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