10月―
遥か眼下に紅葉前線という「秋」をいまだ眺めながら
山頂に近い山小屋は「冬」の寒さを迎えている不思議さ。
バケツの水は軒並み凍りつき、濡らしたタオルを振り回すとバットのように凍りつく。夏の喧噪が嘘のように、静まり返った北岳。いよいよ、小屋閉めが近くなってきた。
山小屋アルバイトの仕事も、接客業から小屋閉めの準備にシフトしていく。屋根にペンキを塗り、崩れた石垣を積み直し、必要のない宿泊棟は順に閉めてゆく。冬の数か月もの間、小屋が雪に埋もれも大丈夫なように・・・。
燃ゆる中央アルプス
北岳からは、遠く北アルプス、中央アルプス、富士山、そしてすぐそばには鳳凰三山が眺められる。日本の著名なアルプスの山々を一望できる数少ないポイントだろう。