写真でつづる山小屋アルバイト2010 -6月-

6月、南アルプス。
ホバリングするヘリから、ふかふかの新雪の上に飛び降りる。
日本第二位の高峰「北岳」。その標高3000Mにある山小屋アルバイト初日。
ヘリが去ると、キンと静まり返った雪景色と、ほほを撫でる冷たい風だけが周囲を包んだ。

目の前にあるはずの山小屋は、屋根を残して完全に雪に埋まっていた。
事前に山小屋のオーナーから
「最初の仕事は小屋を掘り出すことだから」
と言われて「そんな冗談を」と思っていたが、目の前の小屋は入り口さえ2m下の雪の中だ。

そこから始まる、まさかの過酷な雪かき生活。
体力ももともと足りないし、何より空気も薄い。ほかの数人のアルバイトは体力自慢の猛者ばかり。それでもそんな連中に負けないようにと、疲れを通り越して笑えるくらい雪かきをした。

雪に埋まる山小屋
山小屋アルバイト初日

6月=雪かきの日々
6月雪かきの日々

キタダケソウ
北岳にしか咲かない花がある。
アルプス残雪期の6月末~7月上旬、標高3000Mの雪の消えたばかりの斜面に咲くというキタダケソウ。お目にかかるには雪山登山の技術と、短い開花期を嗅ぎとるセンスがいる。この花だけを目的に登山する人も大勢いる、まさに”高嶺の花”だ。日本固有種・絶滅危惧種。
キタダケソウ

ヘリでの荷揚げ
誰もが気になるそのチャーター料は、約80万円+荷物1トンにつき15万くらい、だそうだ。周辺の山小屋とチャーター料を出し合い同日に荷揚げをすることで、負担を減らしている。
ヘリでの荷揚げ

サルとの遭遇
いったん休暇で山を下り、山小屋に戻ろうとした帰りの登山でサルの群れに出くわしてしまった。タイミング悪く登山道をふさぐように散らばって、子連れもいたからか、こちらの接近に相当に緊張した様子だ。
大柄のオスが、こぶし大の石を何度もこちらに投げ転がしてくる。
「サルに投石されて骨折」なんて笑えない。投石を避け、としぶとくにらめっこを続けると、サルの群れは森の中に姿を消してくれた。
サルとの遭遇

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