残雪の消えた真夏の南アルプス。
高山植物はたくみなバンワークで咲き続け、
それをもとめて毎日のように登山客がやってくる。
2010年は”山ガール”ブームだった。
若者がおしゃれな登山服を着て大挙してアルプスを目指したのだ。
しかし南アルプスは北や中央と比べて知名度はいまひとつ。
山ガールはどこへやら、毎日100人以上もやってくる団塊世代のパワーを目の当たりに、山小屋アルバイトをする日々だった。1本500円のビールが飛ぶように売れたものだ。
貴重な高山植物を求めて周辺をよく歩いた。
標高3000Mのつかの間の夏、土壌の養分もすくない過酷な環境に生きてなお美しい花を咲かせる小さな植物に、感動を覚えない日はなかった。