旅立ちの日

ぐらり、と大きく揺らぐと、重みに耐えかねていきなりこけそうになった。
出発当日の早朝、実家の前での自転車の試運転。
前日の夜にようやく自転車に装備一式を取り付けて、
日の出とともに勢いよく出発する「はず」だったその第一歩は、さっそく転倒寸前だった。

気を取り直してゆっくりと乗ってみる。
重みは感じるものの、走り出せば案外重さは気にせず走れることがわかってきた。
空は快晴、出発の時だ。
「無事に帰ってきます。」
親にそう言い残して、再び自転車にまたがった。

旅をするにあたり、自転車本体だけでなく、キャリアーや前後のバッグ、飲料水ボトルに至るまですべて新調した。
そんな真新しい自転車にまたがって長い旅に立つというのは、解放感があっていい。
朝日がまぶしいくらいの青空のもと、外国へ旅立つべくペダルを踏み込む。
一人ニヤつくのを止められない。
なんて気分がいいのだろう。
とりあえずの目標は、約480km先の成田空港だ。
慣れない自転車でいきなりロングランである。
最初のうちは信号で止まるたびふらつき、肝を冷やした。
10km達成するごとに「10km無事に走れたことに感謝」と勝手に何かにお礼を言っていたものだった。
後になって考えると初々しい話だが、成田までにつまずくわけにはいかないとそれだけ真剣だったのだ。

長距離移動もテント野宿もほとんど初めてだったが、
運動公園の片隅や海岸線の防風林の下なんかにテントを張って、無事に4泊5日の行程を終えた。
空港まで送っておいた自転車用ダンボールを受け取り、パッキングをする。
大きなダンボールに自転車をなんとか詰め込んで、チェックインカウンターに向かった。

さぁ、いよいよはじまるのだ。
海外・自転車一人旅。何が起きるか、そして何が起こせるか。
精一杯楽しんで、ペダルを漕いでいこう――。

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決意書、なるもの

大学を一年休学してニュージーランドに行ったときは「決意書」なるものを書いた。
だから今回も、と思っていたが、どういうわけかあまり書く気がおこらず
あれよ、という間にフライトの出発時間を迎えてしまった。
というわけで、これはシドニーへ向かう飛行機の中で書いている。
時間は日本時間22時。海の上なのだろうか、外は真っ暗だ。

「決意書」は今書くべきものじゃなかったな、と今更ながら少しおもう。
それを書くとしたら、きっと会社を辞めて社会人に見切りをつけると決めた
1年ほど前のその時にこそ書くべきだったろう。
長々と書く必要すらないのかもしれない。あの時決めたこととはただ一つ。
「自分が心の底からやってみたいと思うことに情熱を注ぐ生き方をしていく――」
ただそれだけだったのだから。

それでも今、少しだけ書くとしたら・・

≪きっかけ≫
これから自分なりの人生を創って行こうと考えて、出てきた答えの一つに「海外を自転車で周る」があるのだけど、
そのいちばんの原点には、象徴的に、NZのカウリの樹との出会いがあるのではないかなと思ってたりする。

NZに1年いたとき、北のほうにでかい樹があるらしいから見に行こうと、
友人とヒッチハイクの旅をしたとこがある。
目的の森に苦労の末にたどりついて、森の中でふと顔を上げたそのとき、
一本の樹を前にして、何か地球の本当の姿を見たような気がしたのだった。

南半球の国の果てでみた、神々しいほどに大きなカウリの樹(その時みたのは、カウリの種のなかでも最大級のものだった)。

NZでこれほどのものがあった。
だったら次は・・
ほかの国々を自分の足で回ることができたなら・・
あのとき初めて、”若者であるうちに何をするべきなのか”を意識したのだと思っている。

≪自転車≫
大学卒業後から自転車にはまった。
きっかけは沖縄本島を自転車で一周した経験だ。
徒歩以上車未満の、自由な移動手段。
雨や風など、天候の気まぐれを一身に浴びるという至極”不便な”スタイルも気に入った。

坂本達の『やった。』、石田ゆうすけの『行かずに死ねるか』などの著書の存在も大きい。
愛読書となったこれら自転車での世界一周旅行記が
意識上の壁を取り払ってくれたことには感謝してもしきれない。
「人はやろうと思えば自転車で地球を回ることだってできる」。
無理難題に見えたって、そこに立ちふさがる壁などなく、隔てるのは自分の意志でしかないと知った。

「地球の大きさを、自分もこの足で感じてみたい。」
こうして、「若者であるうちにすべきこと」と「自転車」が結び付いた。

とはいえ日本でだってロクに自転車をこいだ経験はない。
じゃあまずは、比較的小さな(地球規模でみたら、の話)、南半球の大陸からやってみたらどうだろう。
調べてみると、その大陸は一周だいたい1万5千キロ。
治安もよさそうだし、自身を試す場としてちょうどいいのではないか――
そうして今、南へ向かう飛行機にのっているのだ。

《オーストラリアの地で》
その南半球の国オーストラリアでやってみたいことはいくつかある。
箇条書きにすると、

・自転車での大陸一周
・農場での資金稼ぎ(フルーツピッキング)
・世界遺産地域(タスマニアなど)での数日単位のトレッキング
・自然保護区でのボランティア(できれば島で)
・7大陸最高峰のひとつ「コジウスコ」登頂
・英語の習得(旅行会話以上)
・カメラの修行(自然写真)
・アウトドア技術全般の向上
・先住民族アボリジニーを深く知ること

などなど。1年ではまず足りないので、
ワーホリビザの「農場3か月労働でビザ1年延長ルール」を使って2年ほどいるつもりだ。

ただ正直なところ、箇条書きを見てもわかるとおり
自転車での大陸一周、そしてそのあと予定する海外ツーリングも、目的というより手段に近い。

「じゃあ旅のゴールとはいったいなんなのだろう。」
それは自分自身でも答えの出しにくい、長い間言葉にできない問いだった。

《旅のゴールはなにか》
たとえばフルマラソンで35キロ地点くらいを走っているとき
たとえば自転車で連日100キロ走っているとき
たとえば登山で2日間に24時間歩きとおすようなとき

体は途方もなく疲れているのに、頭は逆に冴えわたり、
自分だけ異次元にいるような感覚に襲われる。
手足の先の先まで、体力とは別の何か(生気とでもいうか)が満ちてきて
自分の命と、周囲の命あるものみなとが体の中で調和されていくような感覚に襲われることがある。
特に自然の中にいる時この状態に入りやすいと思う。

これは「~ズ・ハイ」と言われる状態だろう。
不思議と、こういうときは「心の声」ともいうべき、自分の考えのエッセンスの部分と出会いやすい。
自然、「自分が心の底からやってみたいこと」への答えも出やすいと思える。

自分が旅にでる最大の理由はここにある。
大きく過酷な自然環境のなかで自分の命をさらけ出すように旅をすれば、
常にこれに近い状態でいられるのではないか。
その中で出す答えは、信じるに足るものなのではないか。
自転車も農場もトレッキングも何もかも、理由はこれで説明がつく。
手足の先の先まで生気で満たされるような生活―アラスカ原野で暮らす人々は、これを”FULL LIFE“と呼ぶ―
の先に、必ず「次のステージ」は見えてくると思っている。

その次のステージを創り上げていくことが、おそらくこの旅のゴールとなるのではないだろうか。
いつになるかはわからない。どこでできるのかもわからない。
でも、旅はこうでなくちゃいけないし、わからないから面白い。

すべての行程を楽しみながら、進んでいこうとおもっている。

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山小屋アルバイト① 応募する

旅をしている人たちにとって、シーズンバイトで資金を増やしたいと考えた時、もっとも大きな選択肢のひとつとして挙げられるのが
「山小屋アルバイト」だろう。
日本に一時帰国して、夏の間だけ山で働いて資金を得ている人の話はよく耳にする。

ちるじろうが2010年度の山小屋バイトに応募する際、ほとんどの情報はネットから拾い集めた。
しかし、思っていた以上に具体的な情報が少なくてこずったので、
現時点で知りえた「山小屋バイト」の情報を書いておこうと思う。
興味ある方々の参考になれば幸いだ。

【山小屋バイトって?】
主に長野県や山梨県のアルプス山中に点在する山小屋に泊りこんで
接客業や小屋の管理をするアルバイト。
最近の山小屋は施設も充実しているところが多く
布団や清潔な便所、自家発電機による照明と暖房は当たり前、
山小屋は「山の上にあるペンション/旅館」と言い換えてもいいくらいだ。
食事も最近はヘリで荷揚げするので、なめてかかると予想外にイイものが出てくる。
つまり何のことはない、山小屋バイトとは「山の上での飲食業・民宿業」と言っていい。

それでも、はやり山域の不便な立地のため、基本的に作業はすべて人力。
荷物運び・雪かき・布団干し・・などなど、力仕事が多い。

朝は場合によっては早朝3-4時に起きて、
夜は遅くまで食事の準備・片づけがある。
おそらく時給に直せば、相当低いだろう(怖いからやらないが笑)。
山が好きだからちょっとバイトしてみたい・・とか、軽はずみな気持ちでは決してできない「仕事」と言える。

メリットは、これはもう「貯まる」の一言。
休みも少なく、標高の高い小屋ならばそうそう降りられない。
故に、ワンシーズンやりきれば相当貯まる。
たとえば一例を示すと、
日給6800円×25日×5か月間=・・・etc (むろん、ここから税金を納めるのだけど苦笑)

そしてやはり、休暇や休憩時間に山を歩くことができ、
朝日や夕日を眺めることができるのも大きな魅力と言えるだろう。

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【募集はいつから始まる?】
募集時期については、驚くほどネットに情報が少ないので、詳細に述べておきたい。

山小屋は早いところは5月中・下旬から営業が始まる。
この時期から始めたいのであれば、
2月までに電話して、履歴書を送るところまでやっておきたい。
3月だと、ちょっと遅いのではないだろうか?
(6月中旬から始まる白馬が、3月下旬には内定通知を送ってきたことから推測。)

また、次の営業開始の”波”は6月上・中旬。
この時期からが希望なら、
2月下旬~3月中旬ごろには電話&履歴書を送っておきたいところだ。

ただ、早ければいいわけでもない。
当然、雇い主はある程度応募者が揃うのを待ってから選考をするからだ。
ちるじろうも、履歴書を送った第一希望の小屋に、返事を確かめるべく3月中旬に電話をしたら
「(ほかの方から)履歴書が何枚かもう届いている。
もう少し集まってから決めたいから連絡を待っていて」と言っていた。

その次は、7月中からの短期募集。
ここからは、大学生の休みと重なるため募集が非常に多く、また応募者も多くなる。
意中のところでバイトがしたければ、
少しでも早く・そして長く働ける人材だとアピールするのが有効ではないだろうか。
募集要綱でも、7月上旬から働いてくれるとありがたい、というような文章をよく見かえる。

ちなみにちるじろうの場合、
3月上旬に2通ラブレター(履歴書と自己PR文のセット)を送り、
3月下旬に、「6月中旬から営業の山小屋」から内定を受け、
4月上旬に、「6月上旬から営業の山小屋」から内定を受けた。
(第一希望だった後者を選択)

 

【標高の高い山小屋で朝日を拝みたい・・の場合】
山小屋でバイトすると決めたとき、ちるじろうの最初の希望は、
「標高の高い山小屋で、5-10月の長期で働きたい」だった。
しかし今思うと、この希望は矛盾がある。

つまり、標高の高い山小屋に5月に行くならば、雪山経験が必要な場合が多くなり、
オーナーとしても、雪山経験や山小屋バイト経験がある者を欲しがるということだ。
(ちなみに、標高3000M級ともなれば6月まで残雪期)
ちるじろうが一番最初に電話した山小屋は標高が2600Mくらいのところだったが、
電話越しのオーナーの興味は「雪山経験があるか、ないか」に集中していた。
カンタンにいえば、雪かきで怪我をされては困る、というわけなのだ。
募集人数も少ないから、確実な戦力を求めているように感じた。

ただ、電話で聞いてみるのがやはり一番確実。
たとえばヘリが頻繁に飛ぶから雪上を歩くことは少ないから大丈夫とか、
交通の便がよく、ちかくまで道路があったりロープーウェイがあったりと
標高が高くとも、初心者OKの山小屋もあるからだ。

【有利なスキル】
・料理
料理ができると、とても役に立つと思う。
これまた山小屋によってまちまちだと思うが、
まかないを調理担当の職員が作ってくれるところと、バイトが日替わりなどで担当するところがある。
料理が得意な人は有利に働けるし、
逆を言えばまったく料理ができないひとはそれなりに苦労するかもしれない。
(ちるじろうはまったく汗。まぁ、覚えてやる、くらい前向きにとらえれてればいいと思う笑)

・英語
アルプスの山小屋は、意外なことに外国人の登山者も多い。
スタッフの誰もが英語をしゃべれるわけではないから、
英語や中国・韓国語がしゃべれれば結構有効活用できる。

※「インクノット」という山小屋アルバイトの総合情報サイトが便利です。
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