ワイングラス・ベイを見下ろす頂へ――Mt.Amos, Freycinet NP

FREYCINET NP
ワイングラスベイ

概要:
タスマニア東海岸に小さく突きでた半島部。
そこはタスマニアに20つある国立公園の一つに指定され、
タスマン海と標高の低い鬱蒼とした山々の連なりが交錯する、
秘境と呼ぶにふさわしい自然環境を有している。

とりわけ、この国立公園を有名にしているのが
「ワイングラス・ベイ」
と呼ばれるビーチだ。公園内の山の頂に立てば、
美しく弧を描いた白浜のそのビーチが、
森と海の境界を白く染めあげているのが目に入る。
その姿は秘境のなかの芸術とさえ言ってもいいくらいだ。

ワイングラスベイが一望できる上述の山はMt.Amos(454M)といい、トレッキングコースが設定されている。ここでは往復3時間のショートウォークを紹介したい。

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◆Mt.Amos track◆

・【アクセスタウン】
Swan Sea(60km南の小さな町。スーパー「IGA」あり)、もしくは
coles bay(国立公園そばの集落。ガソリンスタンド併設のコンビニあり)

【トレッキングの所要時間】
往復3H

photo:Mt.Amos track1
Mt.Amos

牧草地帯のど真ん中の路上に、バックパックを背負った若い男が二人。
車のめったいに通らない道路の先を眺めていると、
ほどなく白い乗用車が走ってくるが見えてきた。
二人はタイミングを見計らい、腕をゆっくりと水平に伸ばして、親指を立てた――・・。

その日、ワイングラスベイを目指して、仕事仲間の台湾人と路線バスに乗っていた。
しかし運転手と話をすると、
路線バスは国立公園のある半島内部にはいかないと言うので
半島に近い交差点で降ろしてもらうことになった。
「ここから先はどうするんだい?」
そう尋ねながら運転手はバスを停めた。2人で相談した答えを返す。
「ヒッチハイクでもするよ。」

バスを降りて、『Freciynet NP 27km』の看板を横目に車を待つと、
ぼどなく白い車がやってきた。
さて、何台目が停まってくれるだろうか・・
そう思いながら親指を立てると、
車はゆっくりとスピードを落とし、唖然とするヒッチハイカーの前に停車したのだった。
そう、一台目にしてさっそく捕まえたのだ。

運転手は若いオージー(オーストラリア人)のカップルだった。
聞くとタスマニアに住む医学生で、大学の休みをつかって観光中だという。
自分の経験上、ヒッチハイカーを拾う運転手はたいてい
「かつて自分たちもそんな旅をしていた」という人が圧倒的に多い。
このカップルもその例にもれず、
かつて2人で自転車でNZを縦断、トレッキングの経験も豊富だった。
「帰りも送ってってあげるよ。これ、携帯の番号。トレッキング終わったら連絡してね。」
登山口前に停まると、そういってメモを寄こしてくれた。
こういう気さくな親切はほんとうにありがたい。

photo:Mt.Amos track2
Mt.Amos track

さて、目的地のMt.Amos。
ゆるやかな登山道を登り始めてほどなく、看板が現れた。
そこには『この先非常に急斜面につき注意!! 雨の日は登らないこと
(..very steep and slippery setions of rock..etc)』・・
なんとも不吉な注意書きだ。
そして予言通り(?)、看板をすぎると
“山歩き”から”岩登り”になったとでもいうような、岩肌の直登が始まったのだった。

どうやらこのMt.Amos、全体が大きな岩でできていて、
その岩肌を這うように登るしか方法がないようなのだ。
さらに男性的なゴツゴツした―つまり登りやすい―岩ではなく
女性的ななめらかな岩肌をしていることも、
気軽なハイキングのつもりで来ていた2人を苦しませた。

実はこのFreycinet NPには、
ワイングラスベイを見渡すポイントへ向かうショートウォークが2つある。
一つはこのMt.Amosで、
もう一つは往復30分程度のルックアウト(展望台)へ向かうコースだ。
実はツアーなどで訪れる観光客の大半は、
誰でも登れるルックアウト・コースをとっていて、
Mt.Amosコースは展望のよさにも関わらずほとんど人通りがない。
最初こそ不思議に思っていたけれど、頂上に立つまでにその理由は痛いほどわかった。
たった片道1時間ちょいのわりに急登が続き、
雨で岩肌が濡れていれば経験者だって登れないコースだったのだ。

それでも2人で汗をかきつつ頂上に立った。
「これで最後!」と思しき岩をひと登りして、視界が開けたときの感動は忘れられない。
眼下には、ユーカリの茂る山々に囲まれた
“青のワイングラス”が広がっていたのだった。
“秘境”、まっさきにそんな言葉が頭をよぎった。
直登1時間の苦労が報われて余りある報酬をうけながら、
タスマニア一贅沢な気分で(!?)持参のランチをゆっくりと食べた。

******

Freycinet NPは上述の2つのショートウォークのほかに、
2-3日間かけて半島をめぐるロングウォークもある。(ワイングラスベイを歩ける)
写真を目的とするなら、撮影はMt.Amos頂上から、
もしくはロングウォークの途中にあるMt.Freycinetからが写真に適しているようだ。
(写真集を見るとこの2点からの撮影が多い)

天気がよければタスマニア随一の景観が楽しめる。
僻地とはいえ、訪れる価値は十分にある国立公園だろう。

おまけ:まさに直登!
Mt.Amos まさに直登!

カテゴリー: 3.タスマニア州編 パーマリンク

2 Responses to ワイングラス・ベイを見下ろす頂へ――Mt.Amos, Freycinet NP

  1. yoko のコメント:

    やほ。たびたびのコメントです。
    相変わらず自然と戯れてて、らしくていいね♪
    職場の課長と山登りトークになって、課長の登山写真をみせてみらううちに
    みっちゃんのブログ紹介したい!と思って
    山小屋バイト時代のブログ紹介しちゃった^^
    なかなか撮ることのできない素晴らしい写真が多いって絶賛してたよ!
    自慢の友だね。うふふ

    • chirujirou のコメント:

      >YOKO
      やほう
      旧ブログが役に立ったみたいでうれしいよ、
      紹介してもらっちゃってありがとう^^笑
      課長さんはアルプスやってらっしゃるのかな!?
      今年も夏は暑いみたいだから、
      YOKOさんも休日なんかは雲の上に逃げちゃうといいよ笑

      コメント読んだのきっかけに、久々に自分の旧ブログ読み返して
      ちょっと初心思い返すことができましたー。きっかけつくってくれて感謝感謝@

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