【Main Range Track】(コジウスコ国立公園)

コジウスコ国立公園
氷河湖のひとつ

概要:
世界七大陸最高峰の一つ「Mt.KOSCIUSZKO(コジウスコ)(2228m)」のある国立公園――

キャンベラの南に位置するコジウスコ国立公園はオーストラリアきっての山岳地帯だ。
同国の高峰群を独占し、最高峰であるコジウスコ山は同国の最高峰にして、この大陸の最高峰にもなっている。
オーストラリアといえば乾燥した内陸の砂漠地帯やトロピカルな熱帯雨林をイメージするが、ここでは冬ともなれば「雪」が降り、唯一スキーが楽しめる場所だ。

冬はスキー客でにぎわうこの公園も、夏にはハイキング客でにぎわいを見せる。見どころはもちろん最高峰と、かつての氷河作用によってできた「氷河湖」群、そしてかつて初期入植者たちが約80年も前に建て、いまだ現存するHut(山小屋)だろう。(Hutだけの写真集すらあるのだ)

ちるじろうは最高峰&氷河湖を歩く「Main Range Track」と、
山小屋の一つCascade Hutを目指す「Cascade Track」を歩いたので紹介したい。

【Main Range Track】

コジウスコ国立公園のハイライト、最高峰と氷河湖群をめぐる。
足を伸ばせば第2、第3の高峰にも登れる見どころ満載のコース。

アクセスタウン:Tredbo(スレッボ)、もしくはJindabyne(ジンダバイン)
歩行時間:2泊3日(約38km)

スキーリフトで頂上付近まで上がり、最高峰までの”ハイキング”だけをして戻ってくる観光客が圧倒的に多い中、あえてその奥に足を踏み入れ、オーストラリア随一の山岳地帯を肌で感じる”トレッキング”をしてみてはどうだろう。

***(以下、体験記)

ふもとの村Tredboから明るい山中を2時間弱登ると、森林限界を超えて山岳地帯の入り口に着いた。
そこでリフトに”座って”やってきた人たちと合流して歩き出すのだが
片や3日のトレッキングに備えてデカいバックパックを担いだフル装備、
片やジーパンに手ぶら、時にはベビーカーまで引いた観光客が同じ道を歩く図にどうしてもなってしまう。
実はリフトおり場からコジウスコ山頂までの道のりは、すべて金網や石畳によって舗装されている。
山岳地帯は広々として気持ち良いのだが、そばに子ども連れやカップルがいるとなんとなく気分が落ち着かなかった(笑。
持参した杖は肩にかけて、のんびりとした、気楽なハイキング気分で山頂までの3時間弱を過ごした。

コジウスコ山頂への道のり

それでも、この舗装路以外に山頂に至るルートはないのだ。
どの最高峰登山家だってこの道を踏む。そう考えると平坦な舗装路も違って見えた。
ちるじろうは海抜0Mの海沿いから自転車で登山道まで上がってきたから、すべて人力での登頂でもある。
うれしさをかみしめながら、頂上に立ち、大きな石造りのモニュメントにタッチした。

このコースの素晴らしさは、なんといってもコジウスコ頂上から先に広がる原野の世界だ。
頂上を過ぎると舗装路だった「サミットコース」は未舗装の「メインレンジ・トラック」と名を変え、登山者だけの世界になる。
周りの山々や、岩と草原の広がりが急に存在感をもち、人間が小さくなったような感覚にさえ襲われた。
main range track

日本みたいに宿泊できる山小屋はないからテントを張るのだが、2泊ともテント場を探すのに苦労した。メインレンジトラックには、いっさいの標識がないのである。(植物や歴史の説明ボードはあるが)
特に一泊目のテント場は圧巻だった。
地図には、サイドトリップの第二の高峰・タウンセンド山の麓にテント場あり、と示されていた。
道が見つからずほかの登山客に聞いてなんとか見つけたタウンセンド山へのコースは、山の中腹にわずかな踏み跡が延々と続くけもの道で、その道をたどっていると、はるか眼下のカール上の大地の上に、米粒のようにテントが数張り見えてきたのである。

テント場に続く道はないから、けもの道を外れて草原地帯をまっすぐに降りて行った。山々に囲まれた原野に、小さな清流が太陽光を浴びて輝いているのが見える。
草原を踏みしめるざくざくとした音、草と土の入り混じった風の匂い・・
テント場と思しき場所にたち周囲を見回すと、人間など意にも介さない、圧倒的な原野の広がりの中に立っていた。

なんて素晴らしい体験だったろう。
日本のアルプスとは少し違う。険しさは日本のそれが勝るだろうが、
“広がり”という点においてはコジウスコは圧倒的だった。
テント泊 Main range track

最後にテント泊について注意点が2つ。
1点目は標識のないテント場をどう探したらよいかということだけど、
「キャッチメントには張るな」ということらしい。
キャッチメントとは英語で「湖などに注ぎ込む川の流域」といえばいいだろうか、氷河湖は栄養分の乏しい独特の環境にあるため、そこに注ぎ込む川の流域では人間活動をしてはいけない、ということになっているようだ。
地図を見ても、氷河湖の上流域以外にテント場が設けてある。

2点目は、雷の当たらない場所にテントを張ってほしいということだ。
山岳地帯の天気は変わりやすい。
実際2泊目の夜に突然大雨になって雷が鳴りだした。
草原の真ん中に建てたテントでその雷鳴を聞くほど、恐ろしいことはない。
あのとき、「俺はここで死ぬのか!?」と本気で考えてしまったほどだ。
オーストラリアすべてでいえることだが、雷は最大限に意識したほうがよいと思う。

ちなみに、2泊3日が無理ないが、1泊2日でもメインレンジ・トラックは回ることもできる。
季節は花々が咲き乱れる夏がおすすめだ。
コジウスコ山頂付近の高山植物
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