世界遺産「ブルーマウンテン国立公園」

森から突き抜けるように大きな岩が丘の上に刺さっていた。
その岩の上に登れば、あたりの景色が一望できそうだ。
ぼくはその岩の上によじ登った。
4時間のトレッキングで木々を下から見上げるのに慣れた目には
まさに”信じられないような景色”が足元に広がった。

はるか先まで濃密な森林が360度広がり、
そのうしろには切り立った絶壁が森を囲うようにそびえている。
垂直の壁が、陽の光を浴びて鈍く輝いていた。

ブルーマウンテン国立公園での経験はあらゆる意味で衝撃だった。

シドニー近郊80kmほどのところにある、世界遺産の森「Blue Mounain National PArk」。
オーストラリア東海岸沿いに縦長く横たわる山脈の中部に位置し、
絶壁を背景に深い森と滝が点在する雄大な景色が、多くの観光客を引き寄せる。

自転車で標高900mのブルーマウンテン散策の拠点となる街「カトゥンバ」まで行くのは地獄のようにしんどかった。
水と食料を合わせれば自転車の総重量は50kgを超えるから(自重とそんなに変わらない!!)、
坂がきつくても、できるだけこぎ続けなければならない。
押して歩くのも、さらなる地獄だからだ。

森に入り、ダートの道を30分ほど自転車で漕いだ先にテント場があったので2日間利用した。
風と鳥の声しか聞こえない、外国らしく広い芝生が広がる森のテント場。
白くでかいインコ”クレステッド・カクトゥー”がぎゃぁぎゃぁ言いながら飛び回り、
「いつか見てみたい」と願っていたワライカワセミも、テントのすぐ上の梢にとまっている。
ワライカワセミの鳴き声は噂通り本当に面白い。
「ふふふふふ・・はははははははは!」と鳴くのだ。
一時期流行った笑い袋(?)みたいな感じといえばいいだろうか。

ブルーマウンテンは野生生物の宝庫でもあり、
ウォンバッドやカンガルー、「ゴワナ」と発音する大きなトカゲなどが生息する。
テント場とその付近でさっそくカンガルーと巨大なトカゲが現れた。
目を閉じるとカクトゥーの恐竜のような騒がしい鳴き声が聞こえ
目を開ければ大型の野生生物が目に入る。
その経験はまさに”タイムスリップ”といってもよかった。

夕食のときBBQ台と薪があったから近くの落ち葉を燃やすと、
油が乗ったようにバチバチと激しく燃え、それがユーカリだと教えてくれた。
夕闇がせまると、テント場の上でワライカワセミが楽しそうに笑い転げていた。
こちらも何となく、愉快になった。

オーストラリアにきてまだ一週間ちょい。
でもたった一週間という感じはまるでしない。
もっともっとこの国を知りたいと、心の底から願っている。

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