地元の人おススメの渓谷へ――Mt.remarkable NP

ピト・ピト・ピト・・・という音がどこからか聞こえてきた。
瞬時にカラカラのどが反応し、
「水の音だ!」「やっと水が飲める!」
そう脳に信号を送ってきた。
そのとき炎天下の中での山歩きに疲れ果て、考える力も弱っていた。
ほんの一瞬惑わされて、水はどこだ?と目線を宙に向ける。
けれども、こんな石ころだらけの荒野に水なんてあるわけがない。
やっぱりか・・やっぱり幻聴のようだ。
「いよいよ幻聴まで・・」

気軽に立ち寄ったマウントリマーカブル国立公園での2日間のトレッキング。
ここでまさか、命のキケンを感じることになろうとは・・。

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ゴアナ
(途中で出会ったゴアナという大型トカゲ)

◆マウントリマーカブル国立公園 (Mt.remarkable Natinal park)◆
【位置】アデレードから北へ300km
【歩行時間】2-10時間(選択肢多し)

アデレード北部300km、大陸中心部のアウトバックと呼ばれる砂漠地帯にほどちかい山地に、マウント・リマーカブル国立公園というのがある。
地元のアウトドア好きな人間がこぞってここを推すので、それならぜひに、とも思って立ち寄ることにした。

公園西側”Mambary creek”というキャンプサイトから有名な渓谷のある東側の”アリゲーター・ゴージ”まで、往復10時間と案内板にあった。片道5時間でキャンプ泊をして戻ってくるコースらしい。
「体力は人並み以上あるだろうし、カンタン カンタン♪」。
――と、過信からヤマを楽観視してしまったのが、すべての始まりだった。

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オーストラリアのトレッキングコースは、日本のアルプスと比較しておおよそ平たんにできていてとても歩きやすい。日本のそれのような、「ここから頂上まで最後の直登!!!」のような急登はほとんどないからだ。

それでも、歩き始めて1時間もしないうちから嫌な予感がした。
どうやら2つの過ちをしていることに気が付いたのだ。
1つに、南AUSの強烈な日差しをナメていたこと。
最近めっきり涼しかったから油断していたのだろう、アウトバックの入り口と称される土地の30度越えの太陽はギラギラと焦げ付き、体力がみるみるなくなってゆくのだ。
2つ目は水だ。
たかが5時間、と思って1Lしかザックに入れてこなかったけど、この調子では1Lなんて2時間分にすらならない。

3時間もたったころ、体はいよいよカラカラになっていた。
上記の幻聴まで聞こえ、ルートを示すサインがない道がおおく道迷いの不安とも戦っていた。もうスタート地点に戻れるほどの水はない。一度でも迷えば正直危ないかもしれない・・・。
こうやって人はソウナンするのか―――そう思い始めたところで、奇跡的に雨水をためるタンクがあって助かり、ほどよく茶色いその水を(笑)がぶ飲みして事なきを得たのだった。

たどりついたキャンプ地はなぜか荒れ果て、巣に近づくと靴をよじ登って総攻撃をしてくるアリがゴマンといたため、結局近くのピクニックエリアにテントを勝手に張り、夜にたき火をたいて一日を終えた。

軽いハイキングのつもりがなんでこんなことに、とも思うけれど、
ヤマをやっているとときどき過信がこういう小さな不運を呼んでくる。
これまでにも何回かそんなことがあった。
そんな小さな不運が重なったとき、それはいつか遭難という事態を呼ぶのだろう。
この日の失敗はいい教訓だった。

※マウントリマーカブル国立公園は東西に入り口があり、有名なアリゲーターゴージは東側にある。ショートウォークを楽しむのなら東から入るといい。
ただしシャワー付きのキャンプサイトがあるのは西側(Mambary creek)だ。

写真:アリゲーター・ゴージ。
さすがにこの国の国立公園の景観は、はずれがない。
Mt.remerkable

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1 Response to 地元の人おススメの渓谷へ――Mt.remarkable NP

  1. はむおじさん のコメント:

    死んだらだめ!

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