ユーモアあふれるバーでの返事

そのバーは金曜の夕方とあって田舎の割になかなか混雑していた。

カウンターにつき、最初に目のあったガタイのいいニイチャンにビールを注文する。銘柄はいくつかあるが、クーパーズを選んだ。
クーパーズってのは南オーストラリアのビールで、当地にいるからだろうか、これがやたらとうまいのだ。

サーバーの注ぎ口からビールが溢れ大ジョッキに注がれてゆく。
備え付けのテレビは騒がしい店内に負けじとラグビーリーグの結果を伝え、仕事帰りの男どもはそれを見て何かわめくように話している。

「調子はどうだい、メイト(友人)よ」
カウンターのニイチャンは俺からお金を受け取るとそう聞いてきた。
こっちの男は初対面の男にでも「メイト」という言葉を気軽に使う。
「悪くないね。ありがとう。」
ついでに、自分は自転車でオーストラリアを周ってるんだ、と付け加える。オーストラリアはアウトドア天国だ、たいていの男はこう言うと目を輝かして、面白い、そりゃすげぇ、だの言って一気に打ち解けることができる。

ところがこのバーのニイチャンは一味違った。
茶目っ気たっぷりの目をして、そいつはこう言ったのだ。

「そりゃなんてバカなアイデアなんだい!!(that’s a silly idea!!)」

*****

仮にも店員と客の間柄で、しかも初対面の男に対してそりゃ言っちゃいかんでしょう!? ・・と日本的な感覚ならそう思うところだけど、こういう鋭いユーモアをバシっと返してくれるのがオーストラリア流、ということらしい。

ちょっと前にも似たようなことがあった。
セルフのガソスタで野営に使う燃料ボトルにガソリンを入れて、コンビニのようなショップが併設されたレジに持っていったときだ。燃料ボトルを店員に見せて「これにガソリン入れたから。いくらだい?」と聞くと、
若い店員は嬉々としてこう言うのだった。

「それ、飲むんだよねぇ?(笑)」

・・面白い人たちである。

*****

ビールを受け取ると、
バーのニイチャンにはこう返した。

「ほんと、俺もそう思うね..!!」(極めて本心(笑))

お互いhahaha!!、と笑うと、それぞれ仲間のもとに戻っていった。

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