タスマニアの美術館 –MONA “the adult disney”

MONA

それは地上部のない、地下3階にわたって広がる美術館だった。

薄暗くだだっ広い空間には一般的な絵画は少なく、
その代わりに男性器の切り取られた男性像や、裸の女性が壁にぶつかる映像が延々と流れるモニターなどが無造作におかれている。

近代的な建物の中に、ある種異様な雰囲気が漂っていた。

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MONAという現代美術館に行った。
タスマニアの州都ホバートから車で20分ほどの河口沿いの丘にたつその美術館は、これまで見てきたどの美術館よりも見ごたえがあった。
“性”を扱う展示内容の多さは非日常に身を置く雰囲気を高め、またしゃがんだり回り込んだり引っ張ったりと、参加型の美術空間はまさに”アダルト・ディズニー”の形容にぴったりだった。

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地下3階の一番奥の展示を前にして動けなくなった。
布きれでできた女性が仰向けに横たわり、手をついて上半身だけかろうじて起こしている。表情はないけれど、大きく開かれた口は言葉ではない何かを吐き出しているようだった。周囲の景色は、一言で言えば「闇」だ。
人生上の無数の選択肢の前で、立ち往生している閉塞感をこの女性に感じた。
・・なぜか、その女性を前にして少しほっとする自分がいた。

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「MONA」はエントリーフィーは無料、入場者全員にアイフォンのような機器とヘッドフォンが貸し出され、好きな時に展示物の説明を読んだり聞いたりできる。バスでも行けるが、ホバートから専用のフェリーも出ている。新しい美術館で知名度は低いけれど、これからタスマニア観光の上位に入ってくるだろう。面白い経験だった。

HPはこちら。MONA -Museum of old and new art-

追記:2回目訪問時の感想はこちら(写真もいくつか載せています)

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