ハイウェイを走る”トンデモナイモノ”

オーストラリアのハイウェイには”トンデモナイモノ”が走っている。

そいつは自転車で大陸横断や一周を目指す者なら誰もが耳にする「サイクリストの脅威」だ。巨体のくせに時速100キロで走り、壁のような強風を連れてくる。「ボウンッ!!」と音がするほどのその風にバランスを崩して路肩に突き落とされた経験は一度や二度じゃぁない。接触して病院送りにされたサイクリストもいた。
ロードトレイン
(ロードトレインと記念撮影)

オーストラリアのハイウェイの名物。
そいつの名は”ロード・トレイン”という。

大陸中に散らばる都市を結ぶ長距離専門のその大型トラックは、2-3両編成の貨物をかかえ地鳴りのような音を立てて走る。ロードトレインとは言い得て妙な名前だと思う。日本の田舎をはしる2-3両の電車よりよっぽどスピードも迫力もあって、まさにハイウェイを走る列車のようだ。フロントには必ず「ルー・バー」というカンガルーを轢くことを前提にした牢獄の扉のような強固なガードをつけ、弱者を避ける気などさらさらないと言った面構えをしている。もしそんなのが運悪く前と後ろから同時にやってきたら、サイクリストなどなすすべがない。

実は一度だけそんな状況になってしまったことがある。前後からくるロードトレインと自分が、横一列に並びそうになったのだ。そのとき、後ろのロードトレインはなんと1キロ以上も手前からクラクションをけたたましく鳴らし続け、
「おい、そこの自転車、路肩に降りろ、俺は避けないぞ!!」
といわんばかりに威嚇してきたのだった。まさに王者の風格である。

ところが、だ。
ナラボー平原を走っていて、あるとき信じられない光景を目にした。
そのロードトレインが路肩に急停車し、前方からくる何かに道を譲ったではないか。
いったいなんなんだ、何が来るんだ・・・
そうして地平線に身を乗り上げやってきたのは、「ザ・オーバーサイズ」という見たこともないトラックだった。
そいつはその名の通り規格外の荷物を荷台に積んだトラックで、「OVER SIZE!!」と黄色い看板を掲げた先導車まで引きつれ、中央車線を完全にはみ出して、いやむしろほとんど2車線をつかって走るのだった。オーバーサイズこそ”ハイウェイ生態系のトップ”と言ってよさそうだ。すれ違う車はとまらざるを得ない。
オーバーサイズ
あるとき、先導車が前方に見えたので
「・・またオーバーサイズがくる!」
そう思って安全のため路肩に自転車を停めた。
そうして見た光景が忘れられない。
なんと地平線の向こうからやってきたのは、真っ二つにされた「家」だったのだ。
つまりオーバーサイズが2台で、それぞれ家の左半分と右半分を運んでいたのだった。

ロードトレインに、それをさらに上回る規格外のオーバーサイズ・・。
オーストラリアのハイウェイは、どうもサイクリストには優しい場所ではないようだ。

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