2011年のバックパーカー・スタイル

ぶどうの剪定の仕事を得て、タスマニア北部にある第二の都市ランセストンから
東海岸の町スワン・シーに移ってきた。

ここではファーム・アコモデーションに泊まっている。
都市部から遠い農家は、ふつう自分の敷地に労働者用のシェアハウスを持ち、
安いレント代と引き換えに、労働者に宿を提供してくれるのだ。

農家がつくった労働者用の安宿と聞いて
小汚くごちゃごちゃした小屋を想像していたけれど、
ここは白い外壁の広々とした一軒家でなんとも居心地がいい。
ビーチも近いし静か、ルームメイトも優しく(そしてかわいく笑) 申し分ない宿だ。
長期で働くひとが多いファームと聞いたけど、この環境なら納得できる。

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数日後から仕事がはじまる、ということで、
ヒマを持て余したルームメイトたちとムービーの交換をした。

この「ムービー交換」というのが面白い。
これは2006年時のニュージーランド・ワーホリではみられなかった、
旅人の新しいコミュニケーションだ。

2006年の当時
バッパーやYHAに泊まってルームメイトなんかと仲良くなると、
Eメールアドレスの交換をしていたものだった。
そしてまだ自前のノートパソコンを持っている人は少数派だったから、
誰もがネットカフェに通っていた。

「この町で一番安いネットカフェはどこか」

新しい街についたらバッパーでこう尋ねたものだ。

そして2011年、再びワーホリビザで今度はオーストラリアにやってきた。
驚くことにたった5年で、バックパッカー旅のスタイルは大きく変わっている。

今やモバイルPC(ネット・ブック)がバックパッカーズの間でも普及し
モバイルWi-Fiを使って自由にネットをしている人も珍しくない。
またマックや図書館にいけばフリーでネットができる。
ネットカフェに行く必要すらないのには驚くばかりだ。

タスマニアの州都ホバートでは「Free breakfast」ならぬ
「Free Wi-Fi」を売り物にしているバッパーもあった。
その宿のラウンジにある備え付けのコイン式デスクトップには誰も座っていない。
床に座り込んで常時10人以上が自前のノートPCを開いていた。
人が多いのに もの静かなラウンジは、傍からみるとちょっと奇異な光景だった。

ドミトリー(相部屋)でもベッドの上でネットをしている人はやはり多い。
そしてルームメイトと仲良くなると、
「なんか面白いムービー持ってない?」
と、ムービー・シェアをするという新しいコミュニケーションも誕生している。

香港映画やハリウッドだけでなく、
邦画やジブリ作品なんかも出身国にかかわらず旅人に人気のようで、
たいていはハングルや中国語の字幕が付いているけれど映画のジャンルは幅広い。

実際ヒマを持て余すことの多い旅人にとって、映画はもってこいのアイテム。
シェアが盛んなのも頷ける。(思いっきり違法だけども汗)

*****

最後にちょっと提言。・・いや文句!?

モバイルPCとポーダブルHDD、そしてモバイルWi-Fi。

昨今のバックパッカーの多くがもつ装備だ。
これらがあると旅をしながらにして、浦島太郎にならずに済む。
一昔前とはずいぶん違う。

この装備の背景にある欲求。
それは一言でいえば『孤独感の解消』、ではないだろうか。

日本で「ケータイがないと不安」、というケータイ中毒の話をよく聞くけれど、
結局それと同じことがバックパッカーの間でも起きている、
そう解釈していいのかもしれない。

自分も今は上記の3点セットを持っている。
そしてその3点セットを使ってこうしてHPを更新しているわけだけど、
たとえば荒野に張ったテントでネットをつなげる、
もしくはバッパーのラウンジで日本語サイトを眺める、という行為は
恐ろしくその海外生活独特の緊張感を解き放ってしまう。

ネットが自由につなげる。いつでもどこでも使える。
その便利さと引き換えに、何か旅の大事なものを失っている。
そう思えて仕方がないのだ。

これらの新しい装備は、「マスト・アイテム」ではなく
「新しいオプション」として考えていきたい。
自分の旅のスタイルを常に考えていないと、
“いつの間にか”、海外に出ている意味がなくなってしまうような気がする。

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2 Responses to 2011年のバックパーカー・スタイル

  1. あゆみ。 のコメント:

    お久しぶりです♪タスマニア寒そうですね。でも仕事見つかって何よりです!

    オーストラリアに一人で旅をしに来てみたけれど、なぜか‘旅’をしている気分がしない。なんか違うなぁっていつも感じていました。
    みのるさんがその答えを教えてくれたような気がします。
    みのるさんのいうように、3点セットのおかげで旅をしていても何も不自由なく不安なく過ごせている。いつでも知っている誰かと連絡がとれる。

    かといって自分はそれなしに一人で動ける気がしないのだけれど・・・・
    携帯なんかなくっても生きていた高校時代を、不思議に感じてしまう私は完全に文明の力にたよって生きているんだなって思います。
    本当の意味でのいわゆる‘旅人’といえる人は少ないのかもですね。寅さんみたいな!?
    自転車での旅大変そうだけど、他の人には味わえない貴重な体験ができる。それができるだけの度胸を持ち合わせているみのるさんたちを尊敬、うらやましい気持ちです。体には気をつけて頑張ってくださいね♪

    • chirujirou のコメント:

      >あゆみさん
      お久しぶりです~今どちらでしょう!?アデレード?
      僕はこの通りまだタスマニアにへばり付いてます笑

      僕はもともとケータイもWifiも持たない旅でいようと思ってたけれど、
      農場仕事をするにあたってどちらも必要と、買っちゃいました・・。
      でもタスマニアを出たらどちらも封するつもりです。

      いつでもどこでも誰とでも連絡が取れる、
      これは人生をつまらなくすると心から思います。
      そして自転車旅は度胸も何もいりませんよ笑
      ほんと、時間さえあれば誰でもできることです。体力も勝手につくし。

      それにしても、フランクリンやドーバーが懐かしいですね~~(しみじみ
      タバーンと聞くとフランクリンを思い出します笑

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